ドローンと法律 勝手に飛ばせる場所なんか無いってこと

機体重量199gの DJI Mavic Mini が発売されて世間が騒がしいですね。YouTubeでは無責任な動画が氾濫しており、このまま暴走すると間違いなく規制は厳しい方向に向かうでしょう。

今回発売された DJI Mavic Mini は、重量の関係でトイドローンというカテゴリーに属するため、「改正航空法」の規制対象ではありません。

この、「改正航空法」規制対象外だけを取り上げて、自由度が上がったような香りを漂わせるのはホントにやめてほしいです。

ドローンに抵触する法律関係はビックリするくらいたくさんありますので、これまでに判明している法令について取り上げたいと思います。こじつければどの法律にも抵触すると思いますが、新しい分野なので判例も無いでしょうし、具体的にはまだまだこれからです。

法律を遵守すると、日本の国土がいかに狭いかがよくわかります。違う視点で見ると、日本の国土はいかに厳格に管理(管理が行き届くくらい狭い)されているかがよくわかります。

ドローンと日本は相性がよくありません。

とは言うものの、法律とか硬い話はちょっと置いておいて、現実はどうかといいますと、「土地柄」に尽きると思います。ドローンに対して寛容な土地か、敵対的な土地か。何も言われない場所もあれば、即刻通報される場所もあるので、知らない土地では飛ばさないことをおすすめします。

では、ドローンを飛ばせる場所はどこなんでしょうか?

回答:どこでも飛ばせます(補足:許可等の断りなく勝手に飛ばせる場所はありません)

皆さん安直すぎます。ケース・バイ・ケースです。

改正航空法

ドローン(無人航空機)を名指しして規制している法律の1つ目です。
機体重量による違いがあります。一言で説明できるような内容ではありません。たとえトイドローンでも、屋外でドローンを飛ばすつもりがあるなら確実に理解しましょう。

小型無人機等飛行禁止法

ドローン(無人航空機)を名指しして規制している法律の2つ目です。
機体重量による違いはありません。トイドローンも規制されます。
禁止するための法律なので、対象エリアは原則飛行禁止という理解でちょうどいいです。 たとえトイドローンでも、 屋外でドローンを飛ばすつもりがあるなら確実に理解しましょう。

各都道府県条例

ドローン(無人航空機)を名指しして規制している場合があります。
機体重量による違いはありません。トイドローンも規制されます。
公園などの広場において、ラジコン、ゴルフ、スケボー等と同じククリで禁止されていることが多いです。ドローンがどうこうではなくて迷惑行為を禁止しています。ドローンは迷惑なんです。

民法

ここをとやかく言われると、ドローンを飛ばせる場所は壊滅状態になります。
改正航空法で規制されている上空150m未満の空間には土地の所有権が及ぶ範囲です。他人の所有地に無断で侵入したらどう思われるでしょうか?
では水面ならいいだろうと多くの方が考えますが、実は水面にも様々な権利が設定されています。
漁業権の設定された水面上を飛行して、漁業に支障をきたすと判断されたらトラブルになるでしょう。陸上よりも難しいので安易に海で飛ばしている人はやめたほうがいいですよ。

道路交通法

道路上(歩道含む)で離着陸する場合は道路使用許可が必要な場合があります。道路上空を飛行する場合は事前に通報しておくのがマナーです。
土地柄が出ますので、警察署によって判断や手続きは異なるようです。都市部では道路上を避けて飛ぶなど不可能ですので、できれば事前に相談しましょう。

河川法

川なら問題ないだろう!
甘い!!!
河川の土地所有者は国や自治体の場合がほどんです。たまに民地があります。”国の土地を国民が利用して何が悪い”と思いますが、、、そうなんですが、河川には河川管理者がいます。そして河川敷のほとんどは、団体等が許可を得て占用されています。
一見整備されているような場所は自治体が公園として占用していることが多いです。飛行場のようになっているところはラジコンクラブが占用していて、お金を出し合って整備しています。採石場になっている場所も多いです。不自然にきれいな場所は必ず誰かの手が入っているので、確認しましょう。
少ないですがバーベキュー等ができる場所なら規制がゆるいので、河川事務所に言って使用届を出せばたいてい飛行できると思います。

海岸法

川がダメなら海だろ!
ダメです!!!
海岸には海岸管理者がいます。また、非常に多くの方々のボランティア等によって保全されています。港には港湾管理者がいます。港付近には船舶が運行されています。
迷惑と判断されれば摘発されるでしょう。
問い合わせ先は非常にわかりにくいので、飛ばさないのが無難です。

港則法

港内では船舶交通の安全を確保する必要があります。
問い合わせ先は海上保安庁になるそうです。飛ばさないのが無難です。
最近東京港で摘発されたそうです。

海上交通安全法

海上には海路が設定されています。陸上の道路と同じです。
海上でも船舶交通の安全を確保する必要があります。
問い合わせ先は海上保安庁になるそうです。飛ばさないのが無難です。

電波法

ドローンは無線を利用して、操縦や映像確認を行います。
無線は電波です。ドローンと電波は切っても切れない関係です。
電波を使用するにあたっては、周波数や出力等、非常に複雑な規則があり、本来は免許が必要です。電波は素人が気安く扱ってい良いものではありません。とにかくわかりにくいので、甘く見ないでください。管轄は総務省です。

文化財保護法

文化財の保存・活用と、国民の文化的向上に害をなす行為と判断されれば摘発されるでしょう。
姫路城で話題になりました。

自然公園法

国立公園で飛行したい人は注意しましょう。必ず公園管理者に確認しましょう。

鳥獣保護法

鳥獣の生活を脅かす行為と判断されれば、摘発されるでしょう。

種の保存法

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に害する行為と判断されれば、摘発されるでしょう。

外為法

ドローンを輸出することは規制の対象になるそうです。
DJI CAMPで教わったので入れておきます。

廃棄物処理法

ドローンが操縦不能等で墜落し紛失した場合、放置したら不法投棄になります。
リポバッテリーが発火して山火事になるとかならないとか。

個人情報保護法

ドローンとは関係なさそうですが、ほとんどのドローンにはカメラが搭載されています。むしろカメラがなければ飛ばす意味がないとすら言い切れます。
ドローンが市民権を得られずに嫌われる原因がカメラでして、盗撮される疑いを持たれています。
そのため、肖像権とプライバシーの侵害に対して非常に神経質に扱われます。プライバシーの侵害に対する保険があるくらいなので、甘く見ないほうがいいです。


以上、現在までにわかっている関係法令を上げてみました。
2019年末時点でドローンに対して明文化されているのは、「改正航空法」「小型無人機等飛行禁止法」「各都道府県条例(一部)」くらいですが、今後 DJI Mavic Mini のトラブルが頻発して問題視されると、各法令が明文化してくるというリスクが多大にあります。

これから、自動運転やAIなど、未知の領域に足を踏み入れていくわけですが、日本人の資質が試されていると考えても良いのではないでしょうか。