今回は通信回線のない隔離エリアにおいて、監視カメラを運用する実証実験を行いました。
構成は以下のとおりです。
・M2Mルータ:I-O DATA 「UD-LT1」
・監視カメラ:Panasonic 「BB-HCM580」
・SIM:グローバル固定IP付きデータ通信専用SIM 「インターリンク LTE SIM」
・ファンレスPC:「LIVA Windows® 8.1 with Bing(LIVA-C0-2G-32G-W-OS)」Windows10Homeアップグレード済
・FTPサーバー:Windows10標準 IIS
・クラウドサービス:Googleアカウント
・リモートデスクトップ:Chromeリモートデスクトップ
・クラウドストレージ:Google Drive
合計の消費電力は、100Vで0.15~0.22Aでした。
高負荷時を考慮して、50~75VAほど見積もっておけば安定稼働出来ると思います。
写真左が「LIVA」、写真右が「UD-LT1」です
全て既製品と既存サービスを利用していますので、構成品を他のメーカー・サービスに置き換えることが可能です。
例えば、
ファンレスPCを「Raspberry Pi」にして、FTPサーバーを「Apache」にしても良いですし、
クラウドサービスにMicrosoftアカウントを取得して、MicrosoftリモートデスクトップやOneDriveを利用しても良いです。
この構成で次の操作が出来ます
1.監視カメラで静止画をスケジュール撮影して、内臓のSDメモリーとFTPサーバーに保存
2.FTPサーバーの画層保存フォルダとクラウドストレージを同期
3.クラウドストレージに保存されたカメラ画像を閲覧
4.M2Mルータの転送機能でグローバルIPを監視カメラIPへ転送し、インターネットからカメラ映像をリアルタイム監視
5.リモートデスクトップでファンレスPCをインターネットから遠隔操作
各機器に必要な設定については、
・M2Mルータ
LTE設定
DHCP設定
NAT設定
・監視カメラ
IPアドレス設定
静止画撮影スケジュール設定
・ファンレスPC
IPアドレス設定
IIS設定(FTPサーバー)
カメラ用ローカルユーザー追加
カメラ転送用フォルダのアクセス権設定
カメラ転送用フォルダ容量が一杯にならないようにPowerShellコマンド設定またはフリーソフト設定
Google Chromeインストール
グーグルアカウント取得設定
Google Drive、Googleリモートデスクトップ設定
以上です。
この中で、今回特徴的(画期的)な
・M2Mルータ:I-O DATA 「UD-LT1」
と
・SIM:グローバル固定IP付きデータ通信専用SIM 「インターリンク LTE SIM」
の 2製品について簡単に紹介したいと思います。
まずは、
●SIM:グローバル固定IP付きデータ通信専用SIM 「インターリンク LTE SIM」
について
このサービスは、NTTドコモ回線を利用したMVNOサービスなんですが、
なんと ”固定IP付き” です!
私はこれまで、ダイナミックDNSサービスで2度ほどトラブっており、DDNS非推奨派で、グローバルIP推奨派です。
SIMカードでグローバルIPが使えるとなれば、利用範囲がとてつもなく広がり画期的です。
今回契約したプランは
「1GBまで高速プラン固定IP1個」月額料金1,458円
データ通信量1GBまで 下り最大150Mbps/上り最大50Mbps
・直近3日あたり366MB超で通信速度制限(上限速度200kbps)あり
・1GB以降は、上下最大200kbpsで使い放題
・高速データ通信ON/OFF機能あり」
「UD-LT1」用に標準SIMサイズ
です。
参考までにテレメータのデータ転送レベルでしたら、
「128kbpsで使い放題プラン固定IP1個」月額料金1,080円
データ通信量に関係なく上下最大128kbpsで使い放題
というプランもあります。まさにM2M用のプランです。
ちなみに今回使用したM2Mルータ:I-O DATA 「UD-LT1」は「インターリンク LTE SIM」にて動作確認されていませんので、同じ構成をお考えの方は自己責任でお願いいたします。
次は、
●M2Mルータ:I-O DATA 「UD-LT1」
について
こちらはブロードバンドルータにSIMカードスロットがついて、WAN回線にLTEを使用できます。
他社製品でもM2Mルータは販売されていますが、io PLAZAの直販価格で\32,184とこれも画期的です。
「UD-LT1」の製品紹介ページにはこのように記述されています。
遠隔地や無人拠点でも安心!
マルチキャリア対応M2M(機器間通信)ルーター
UD-LT1はM2M(機器間通信)において安定したネットワークアクセスを実現するための機能を備えたルーターです。
モバイル回線とフレッツ光などの固定回線による回線冗長化や、スケジュール・死活監視による本体・通信モジュールのリブート/リセットによる自動リカバリー機能により遠隔地や無人拠点でも安心してご利用いただけます。
残念なことに、動作検証済みSIMの中に「インターリンク LTE SIM」は記載されていません。くれぐれも自己責任でお願いします。
NAT設定でグローバルIPを監視カメラへ転送しているため、インターネット経由でルータの管理画面に接続することは出来ません。
しかし、リモートデスクトップで遠隔操作したPCから、ルータの管理画面にアクセスすることが出来ます。
主な管理画面です。
詳しい内容は取説をダウンロードしてください。
ステータス - 基本設定
ステータス - LANステータス
ステータス - WANステータス
ステータス - 3G/4Gステータス
アンテナレベルが(20)ですが、スチール製のラックに収めた状態です。
ラックから出すと(32)くらいになります。
ステータス - ルーティングテーブル
ネットワーク設定 - LAN
ネットワーク設定 - WAN/LAN
物理ポートが2ポートしかありませんので、WANポートをLANポートに変更します
ネットワーク設定 - 4G/3G
こちらに回線業者から指示されたLTE設定を入力します
ネットワーク設定 - ネットワーク接続
ネットワーク設定 - リンクのバックアップ
ネットワーク設定 - DHCP設定
今回ここでツマヅキました
最初固定IPアドレスで設定しましたが、DNSやNATが期待通りに通信出来ませんでした
試行錯誤の結果、DHCP機能を有効にして、カメラとPCに固定IPを優先割付することで解決できました
LTE回線をメインにする場合は何かあるのかもしれません
アプリケーション設定 - ICMP検出
ここがM2Mルータならではです
画面では、Google(8.8.8.8)にPINGを打ってタイムアウトになったらLTEを再接続する、という設定です
他にもLAN内の機器にPINGを打ってタイムアウトになったら本体を再起動する、というような設定をするのも良いでしょう
アプリケーション設定 - DDNS設定
グローバルIPがない場合はDDNSを利用することも出来ます
アプリケーション設定 - SNMP設定
アプリケーション設定 - タスク管理
ここもM2Mルータならではです
スケジュール設定でリンクの接続・切断や再起動を自動化出来ます
VPN設定 省略します
M2Mとはいえ、POS売上データ回収などの場合でも、よりセキュアに運用することが出来ます。
転送設定 - NAT
今回はDNATを設定して外部からの通信を全てカメラへ転送しています
セキュリティ設定
IPフィルタリング/ドメインフィルタリングMACフィルタリング は押さえています
システム管理
世の中便利になりました